学校英語教育改革の延期は残念なこと
話は変わりますが、先日、日本の学校英語教育改革が延期されることが発表されました。
英語4技能化によってやっと日本の英語教育でも「使える英語」「本物の英語」が学べるようになるはずだったので、率直に言ってとても残念です。
確かに、家庭の経済格差、地域格差、採点や民間英語検定試験間の評価統一が難しいなど、問題点があることは明らかです。
ですが格差については補助を出すなど、何らかの対策を打ち出しながら、なんとか実施できなかったのかと思います。
このへんは公平性を重んじ横並び意識の強いいかにも日本的な判断で、中国だったら構わず実施に踏み切っていたかもしれません。
「本物の英語を学ぶ」という方向性は間違っていなかっただけに、実施に向けた制度作りや調整などのところでつまずいでしまったのが、返す返すも残念でなりません。
日本の国際化はますます遅れる
世の中は「延期になってよかった」の声一辺倒で、ほとんど誰もそのマイナス面について触れません。
ですがあえて言います。
今度の延期によって日本の国際化はますます遅れ、国際社会に取り残されます。
この待ったなし、猶予なしの状況で、またもチャンスを逸してしまった。
消費税は上がる、少子高齢化は進む、社会保障費が増大する、国が教育にお金をかけない、その上、教育改革はとん挫する…この国はどうなってしまうのか、もはや沈む一方ではないか…
中国の勢いを肌で感じると、これではいけないと強く実感します。
職場では若く優秀で上昇志向にあふれた中国人や韓国人、ベトナム人などが増えていて、そういう人たちが日本人の上司になっています。
日本人は彼らに勝てません。
英語4技能化は絶対に必要
今回の学校英語教育改革はうまくいきませんでしたが、「使える英語」「本物の英語」を学ぶために日本の英語教育を変えていくことは絶対にやらなければなりません。
日本の国力がこれだけ沈んできている原因のひとつは明らかに国際化の遅れにあり、英語教育のまずさもその一端です。
学校英語教育改革の延期によってもたらされる大きなマイナスにも、目を留めておく必要があると思います。
今回のごたごたで学校英語教育改革は少なくとも2024年まで先送りになってしまったようですが、その時までには浮き彫りになった問題点をクリアし、次は確実に英語4技能化に向けた改革を実行しなければなりません。
現状維持は許されない
今回、学校英語教育改革が延期に至った理由は、制度の不備や制度設計プロセスの不透明さだけではないと感じています。
学校教育、英語教育にたずさわる多くの人々、あるいはもっと広く日本人全体の根底に、「変わるのは嫌、現状維持がいい」という気持ちがあり、それが世論となり足を引っ張った部分も多分にあるのではないでしょうか。
変化に対する不安ばかりで、「やっと日本の子どもたちが本物の英語を学べる時代が来る」という前向きな捉え方が、社会全体ですごく少なかった気がします。
でも、もう変わらなければならないし、現状維持ではいけないのです。
変わらなければ、日本はズルズルとさらに後退を続けていくばかりでしょう。
たとえ不安であってもやらなければならないことはあります。
英語教師は、「英語4技能の教え方が分からないから」とか、「自分は英語がしゃべれないから」とか、「そもそも英語4技能なんて必要ないじゃないか」などと言い訳をして逃げることはもはや許されません。
英語を学ぶ小中高生や大学生も、ぜひ積極的に英語4技能を学んで英語学習の本当の楽しさを知っていただきたいです(それを伝えるのも英語教育の役割ですが)。
目次:
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