大切なのは、「intelligibility」
intelligibility(インテリジビリティ)という言葉があります。
「理解できること、わかりやすいこと、明瞭性」の意味ですが、英語教育の分野でintelligibilityと言えば、その英語が通じる英語なのかどうかを意味します。
「intelligibilityがある」と言えば、それが通じる英語だということになります。
そして、英語学習者は実現が難しいネイティブの発音を追求するのではなく、intelligibilityを身につけることを現実的な目標とすべきだという考え方が、近年一般的になりつつあります。
私も、大切なのはこのintelligibilityだと思います。
少々訛りがあっても、英語は相手に伝わることがまず何より大切なのです。
どれくらいのintelligibilityがあればいいの?
intelligibilityが高ければ高いほど理解しやすい英語ということになりますが、では、どれくらいのintelligibilityがあれば良いのでしょうか。
intelligibilityを測る物差しがあるわけではないので、数値で示すことはできません。
しかしごく大ざっぱに言えば、「訛りが残っていてネイティブのようには聞こえないけれど、相手にまず問題なく通じるレベル」といった感じでしょうか。
これが実際どんなレベルかを知るには、自分で外国人と会話して、「これくらいだったら通じるんだな」というものを感覚的に知っていくしかないかもしれません。
ですがともかく、訛りがあっても通じさえすれば構わないし、ネイティブのような発音である必要もまったくないということです。
その程度の発音なら、たとえばNHK英語講座テキストの音声をまねて発音したり、シャドウイング練習したりすれば、身につけるのはそう難しくないはずです。
後述しますが、伝わりやすさは発音だけに起因するわけではありません。
発話する英語の音そのものよりむしろ、ゆっくりはっきり話すことや、正しい文法で話すこと、シンプルに論理的に話すこと、あるいは何を話すのか(話す内容)というようなことの方が、伝わりやすさという点からはより大切ではないかと思います。
私のオーストラリアでの経験
私はオーストラリアで約三年間の留学生活を送りましたが、その間、ネイティブ、ノンネイティブにかかわらずいろいろな国や地域出身の人々の英語に接しました。
そしてこの経験から、英語の発音や伝わりやすさについていくつかの学びを得ました。
文法が正確であることと、ゆっくりはっきり話すこと
留学の最初の頃に通っていた語学学校では、世界各国からの語学留学生の英語を聞きましたが、彼らの英語ははじめ聞き取るのに非常に苦労しました。
しばらくして分かったのですが、それは主に彼らの発音の悪さと文法の不正確さが原因でした。
その上、早口で話す人もとても多かったです。
留学生たちの発音は中級クラスあたりの生徒でもintelligibilityのあるレベルではなく、彼らの英語に慣れているはずの語学学校の先生でも理解できないことがよくありました。
発音はやはり一定レベルに達していないと、コミュニケーションに支障をきたします。
また発音に加え、文法的に正しく話すことも重要だと実感しました。
たとえば時制をおろそかにして、I went~.と言うべきところをI go~.と言ってしまうと、それだけで話が分からなくなってしまうことも実際にあるのです。
そしてまた、ゆっくりはっきり話すことも大切だということも学びました。
「こんなにペラペラなんだぞ」などと見栄を張って、不必要に早口で話してはいけません。
目次:
英語の発音はどれくらい綺麗じゃなきゃいけないの?
②-大切なのは、「intelligibility」。 文法が正確であることと、ゆっくりはっきり話すこと。
④-発音以外のスキルや能力もバランスよく向上させる。 日本語の訛りは日本人の証!