発音以外のスキルや能力もバランスよく向上させる
これまで述べてきた通り、「発音は大切だけど、ほかの何にも優先して重要というわけではない」というのが私の意見です。
英語を学習するうえで身につけなければならないことは、発音のほかにもたくさんあります。
先述の文法的正確さや、(発音を除いた)スピーキング力、リスニング力、リーディング力、ライティング力、語彙力、流暢さ、自然な表現力などです。
これら英語に必要なすべてのスキルと能力をバランスよく伸ばすことが大切です。
音として表面に現れるいちばん分かりやすい部分なので、ついつい良い発音にこだわり過ぎたり、発音で英語のうまいへたを判断したりしがちです。
でも、発音は英語力全体の一部でしかありません。
ちょっと聞いたところ発音はネイティブっぽく上手だけど、ほかの部分がおろそかになっている人が、得意そうに英語を話しているのを見かけることがあります。
でも、そういう人は少し英語ができる人から見ればすぐに見破られてしまいます。
ネイティブのような発音を身につけたいのなら、とことんそれを追求したって構いません。
しかし発音以外の能力も同じようなレベルで備わっていなければ、本当に英語力があるとは言えないのです。
日本語の訛りは日本人の証!
最後に、日本語のアクセント、日本語訛りについて書こうと思います。
日本語訛りを減らしてネイティブの発音に近づこうとする努力は必要です。
しかし一方で、日本語訛りは日本人である証でもあって、無理にそれを消し去ってしまうより、むしろ訛りが残っていた方が良いのではないかとも私は考えています。
自国語訛りのある英語を話すということは、その人は英語をネイティブのように自然に楽々と「獲得」したのではなく、第二言語あるいは外国語として、そのレベルまで大変な時間と労力を費やして意識的に「学習」してきたということになります。
その努力だけでも尊敬に値することです。
そしてもし日本人が、日本語訛りがあっても文法が正確、語彙と表現が豊か、よどみなく滑らかで、シンプルで分かりやすく、論理的で説得力があり、中身があり知性と教養がにじみ出るような英語を、日本人のプライドを持って話せたら、それは素晴らしいことではないでしょうか。
私がオーストラリアの大学で教わったノンネイティブの先生たちは、自国語の訛りを隠すことなくそのような英語を堂々と話していましたし、それがとても格好良く見えました。
高い英語力を身につけたいと望んでいる日本の小中高生や大学生、若い方々などは、そんな英語が話せるようになることを目標にするのも良いのではないでしょうか。
まとめ:
★発音は伝わるレベルであればネイティブレベルである必要はない。
★発音だけでなく、正しい文法で、流暢に、自然な語彙や表現を用いて話せるようになることも大切。
★ゆっくり、はっきり、シンプルに、論理的に話すこと。
★日本語アクセントは日本人の証。知性と教養と品格のある「日本人の話す英語」を堂々と話せるようになる。
目次:
英語の発音はどれくらい綺麗じゃなきゃいけないの?
②-大切なのは、「intelligibility」。 文法が正確であることと、ゆっくりはっきり話すこと。
④-発音以外のスキルや能力もバランスよく向上させる。 日本語の訛りは日本人の証!