一般的に、「理想的な英語教師は英語のネイティブ教師である」と、英語教師、英語学習者の双方に信じられています。このため、ネイティブ英語教師は学習者と学校によって圧倒的に好まれ、教室で教える際にも、教師の職を探す場合にも、非常に有利な立場に立っています。
一方でノンネイティブ英語教師は、ネイティブ英語教師ほど英語教育に適していないとみなされています。その結果、ノンネイティブ英語教師は教育現場でも就職においても大きく不利益をこうむり、さらに精神的に劣等感にさいなまれてさえいます。
このように、ノンネイティブ英語教師は否定的な見方をされているにもかかわらず、現在世界の英語教育の大部分はノンネイティブ英語教師が担っています。統計によると、世界の英語教師のうち、80%以上がノンネイティブ英語教師です。そして将来にわたって、ノンネイティブ英語教師の数は常にネイティブ英語教師の数を上回ると考えられます。
それゆえ、英語教育におけるノンネイティブ英語教師の役割について考え、彼らのイメージを改善し、彼らが直面している問題を解決することは重要なのです。
近年、英語教育の研究者と教師は、このノンネイティブ英語教師の持つ問題に注意を向け始め、ネイティブ英語教師と比較した場合のノンネイティブ英語教師のさまざまな強みと利点を見出しています。
研究者や教師が指摘しているそのような強みや利点は、ノンネイティブ英語教師にとって励みになるものです。
しかしながら、学習者の側が実際どのようにノンネイティブ英語教師について考え、ノンネイティブ英語教師に何を期待しているかということはいまだはっきりと分かっていません。なぜならば、これらの強みや利点は教師側からの見方であり、学習者の意見ではないからです。
ティーチングは教師と生徒の考えのギャップがより小さい時、よりスムーズに運ばれるものです。それゆえ、ノンネイティブ英語教師についての学習者側の考えを知るのは重要なことです。
この研究の目的は、学習者がノンネイティブ英語教師の有用性についてどのように考え、ノンネイティブ英語教師からどのように教えられたいと期待しているのかについて、ネイティブ英語教師との比較において考察することです。
ノンネイティブ英語教師が、自分たちの強みと、英語教育におけるユニークな役割を理解することによって、彼らが感じる劣等感を克服し、より自信を持つことができるようにという希望の下に行われた研究です。
【論文】ネイティブ教師VSノンネイティブ教師(目次)
①ネイティブ英語教師とノンネイティブ英語教師、どちらが優れているの?
ESL Learners’ Perceptions of Non-Native English Speaking Teachers
③イントロダクション要旨
第1章・・・これまでの研究(抜粋)
第6章・・・結論と示唆(抜粋)