4技能英語教育研究家 | 鶴岡俊樹オフィシャルブログ

英語教師が、英語教育のこと、日々のレッスンのこと、趣味のジャズピアノのことについて書いていきます。

ノンネイティブ英語教師の直面する問題

ノンネイティブ英語教師がかかえる問題が、世界中の現場教師から報告されています。

カナダのパキスタン移民であるAminは、マイノリティーの女性ノンネイティブ英語教師がカナダの英語教育界でどのような弱い立場におかれているか、移民の英語教師に行った調査と彼女自身の経験を基に述べています。

彼女の調査は、移民の英語教師が、自分たちの生徒が持つ理想的な英語教師像がどのようなものであると捉えているかを調べたものです。

Aminによれば、生徒の中には「白人だけが英語のネイティブ話者であり、ネイティブ話者だけが“本物の”“正しい”“カナディアン”英語を知っている」と考えている者もいるようでした。
さらに、ほとんどの生徒はノンネイティブ英語教師よりも白人教師をはるかに強く好む傾向がありました。

Amin自身の経験では、生徒たちは彼女の英語の能力を疑っており、中には彼女が間違いを犯すことを期待しているような生徒さえいるようでした。
彼女は他の白人教師の同僚よりも常に不安を感じており、生徒の質問に答えられないのではないかという恐れから、授業の準備により多くの時間をかけなければならないということです。

調査への参加者であるノンネイティブ英語教師たちも、これと同じような不安を口にしています。
「私たちは英語のすべての文法ルールを知る必要がある。なぜなら、私たちは常に生徒によって評価され、テストされ、白人の同僚のようには好まれず、彼らと比較されているからである。」

ウルグアイ人英語教師であるSuarezは、このノンネイティブ英語教師の不安と劣等感を「I’m not a native speaker」シンドロームと呼び、それがどのように彼らのティーチングに悪影響を及ぼしているかについて言及しています。

彼の知るウルグアイ人英語教師の中にはかなりの英語力を持つ者もいます。しかし、彼らは公の場ではめったに英語を話したがりません。さらに、彼らは自分の英語力が十分ではなく、そのため英語教師としても不十分であるとさえ感じています。

同じようにPrcikovaは、スロバキア人英語教師は生徒たちによってネイティブ英語教師の同僚と比べられることを不安に感じており、英語力に自信がないために、自分たちはネイティブ英語教師の同僚たちより劣った英語教師なのだと信じるに至るのだそうです。

このような不安と劣等感に加え、ノンネイティブ英語教師は就職の面でも難しい立場に置かれています。

Mattosは、ノンネイティブ英語教師がブラジルでどのように雇用機会から締め出されているかについて発言しています。
彼によれば、ブラジルの学校では(ブラジルのみならず、非英語圏の国々のほとんどの学校に当てはまることだと彼は考えていますが)生徒を集めやすいとの理由から、より経験のあるノンネイティブ英語教師よりもネイティブ英語教師を好んで雇うということです。

Thomasは、TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages、英語教授法)に従事する教師の中にさえ、「英語を教えるために必要な条件は、その教師が英語のネイティブ話者だということである」と考える者もいると指摘しています。

彼女はかつてTESOLの会議に出席し、その際、会議の出席者の一人がある学校の英語教師の雇用について話すのを聞きました。その出席者によれば、その学校は生徒募集の際、生徒たちに「教師は全員ネイティブ英語教師です」と伝えるのだそうです。

それは学校が、ノンネイティブ英語教師にわざわざ教わりに来る生徒などいないと考えているからだそうです。

ThomasはまたAminと同じように、生徒がノンネイティブ英語教師を否定的にとらえ、ネイティブ英語教師に教わることを強く望んでいるともコメントしています。

Thomasのある生徒は、彼女に次のように言ったそうです。
「はじめてあなたが私の先生になると知ったとき、私はがっかりしました。そしてあなたのクラスを好きにはなれないだろうと感じました。私はネイティブ英語教師に教わりたくて、大金をはたいてわざわざアメリカまで来たのだから。」

このように、ノンネイティブ英語教師は多くの問題に直面しています。

彼らの英語教師としての資質は、生徒、そしてネイティブの同僚教師から疑問視されています。

また、生徒と学校がネイティブ英語教師を望むため、雇用の機会からも締め出されています。

そして自分たちの英語力に自信が持てず、そのため不安感や劣等意識にさいなまれ、自分たちは英語教師として失格であるとさえ信じるようになります。

この章で紹介したケースはほんの一例にすぎず、同じような意見をノンネイティブ英語教師の問題に関係するさまざまな文献に見ることができます。